石油暖房機の使用上のポイント


私がこの8年間に関わった、石油スト−ブや石油ファンヒ−タ−の不具合およそ600件のうち本当に機械の不具合と判断された事例は約60件で残り90%は使用する灯油や使用方法による不具合によるものでした。

したがって、正常な灯油を使用することがまず機械を長持ちさせる1番のポイントになります。

では正常では無い灯油(不良灯油)ですが、
これらには灯油の品質が変わった変質灯油と、水やゴミ、ほかの油脂類等が混入した不純灯油があります。

変 質 灯 油

不 純 灯 油

●前シ−ズンより持ち越したもの
●高温の場所で保管したもの
●日光の当たる場所で保管したもの
 

●灯油以外の油、ガソリン、シンナ−、天ぷら油、機 械油、 重油などが混入したもの        ●水やゴミなどがわずかでも混入したもの
●灯油水抜き剤や助燃剤を添加したもの

灯油は本来無色透明の液体で、前の年の灯油を使用したり、高温や日光に当たる場所に保管した場合、白色の水用ポリタンクに貯蔵したりすると黄色く変色します。
この場合は、透明のペットボトルをよく洗い、乾燥させてその中に灯油を注いでみれば一目でわかります。
また、寒暖の激しい時期においては灯油を貯蔵するタンク内で結露による水滴が発生し水混入の原因になります。
シ−ズン後、保管する前には必ずタンク内と灯油皿の中の灯油を抜き取ってから保管しましょう。
 不良灯油を使用すると石油スト−ブでは、異臭、芯先の炭化、すすや黒煙の発生があり、芯を交換することになります
石油ファンヒ−タ−の場合は、気化器詰まりによる燃焼不良や異臭の発生、白煙(燃えない生ガス)がみられ、気化器や燃焼機を交換することになり、この事例が1番多い不具合です。

次に石油ファンヒ−タ−には構造上燃焼を監視するためのセンサ−がいくつかついており、少しでも異常な燃焼をしたり、炎が小さくなりすぎると燃焼を止めるようになっており、さらに耐震装置という地震発生等の際に燃焼を止める装置も必ずついております。
そのなかで実際に炎の状態を監視している装置をフレ−ムロッド(炎検知器)と云い、炎が電気を通す性質を利用して燃焼バ−ナ−からこのフレ−ムロッドへ通電を行い、一定以上の炎がでていなければ通電しないという原理で燃焼を監視しているのですが、室内で女性が使うヘアスプレ−などに含まれるシリコンがこのフレ−ムロッドに付着すると、シリコンは電気を通さないため石油ファンヒ−タ−は炎がでていても燃焼していないと判断し、燃焼を止めてしまいます。
3割くらいの故障はこの事例になり、対処方法はこのフレ−ムロッドの掃除(磨く)、交換になります。
理容店や美容室で石油ファンヒ−タ−があまり使用されないのは業務上ヘアスプレ−を使用するためです。

3番目として、石油ファンヒ−タ−は一般的に燃焼用の空気を外部から取り入れるようになっており、取り込み口には埃が入らないようフィルタ−が付いております。
ここに埃が大量につくと燃焼用空気(ようは酸素)の吸入が不足し、燃焼異常をおこします(換気エラ−)。
取扱説明書にはここの定期的清掃をうたっておりますので時々行ってください。(自分でできます)。
なお、石油スト−ブでも燃焼用空気を取り入れる穴が燃焼筒内にあり、不良灯油の使用により黒煙(すすやタ−ル)が発生するとこの穴がふさがれて不完全燃焼に拍車がかかり、さらに具合が悪くなっていきます。

あと、点火プラグの不良やギャップ調整、燃料ポンプの目づまり、送風モ−タ−の不具合等ありますがこれらは実例をしめしながら別ペ−ジにて解説していく予定です。

 

aniblack03_back.gif